RACE REPORT

 

2/20-21 Official Test

国内での数回のテスト、ヘレスサーキットでのチームと初のテストを経て、いよいよ開幕となるオーストラリア、フィリップアイランドサーキットで、レースウィークの月曜日、火曜日の二日間で行われた公式テスト。

初日、晴天に恵まれたものの、非常に海に近いこのコース特有の、時に風速35m/s以上の突風の吹く中でのテスト。

それぞれ1日1時間50分の走行が2本のスケジュールの中で、初日走行直前に燃料がピットに用意されていない事が判明し、オーガナイザーへ確認へ走り。燃料が確保できたと言った直後に「昨日まで問題なく動いていた」という燃料ポンプのトラブルが発生。トラブルを解決し、走行開始するまでに40分以上の貴重な走行時間を失ってしまった。

走行を開始してからも、ヘレステストでも発生していたシフトトラブルが発生。

このセッションでの周回数は13LAPにとどまり、ベストタイムも1’37.524(トップから2.1秒差)の17番手。FP1ではマシンを普通に走らせるための時間に費やすことになった。

FP1終了直後から天候は悪化し、10分ごとに雨、晴れが交互にやってくるような非常に読みにくい天候へ。

WSSのFP2も開始直後はドライでもなくウェットタイヤで行くにも乾きすぎているという状況のためしばらく走行を見合わせ、途中雨脚が強くなったタイミングでウェットコンディションでのマシンを確認するためにコースイン。雨の中でのフィーリングは大きくセットアップを変えることなくOKレベル。ただ15℃を下回る低い気温、変わらず30m/s以上の強風の中で、続くレースウィークは天候が好転する予報だったために、ここでのリスクを追う必要性は低いため、数周で走行を終えた。

2日目、開幕前の最後のテストとなるこの日は、未だに強い風はあるものの天候も回復し、周回を重ねる中で各ライダーもタイムアップ。

コースを習熟しながらも様々なセットアップを試す中で、気温、路面温度が上がり各ライダーのタイムが伸び悩む中で、最後渡辺はタイムを上げ午後の最後のセッションではトップから1秒のビハインドまで差を縮め12番手につけた。

ライダーコメント

「ある程度のトラブルは新しいシーズンにつきものですが、予想外なトラブルもあり結果的に初日は思うようなセッションにできませんでした。比較的新しいチームで新体制となった最初のレースとはいえ、初歩的なミスも多く、チームとミーティングの場を持ち『プロフェッショナルとしてちゃんと仕事をしてくれ』と伝えました。自分にとっては久しぶりのプライベーターチームで、環境の差はある程度の覚悟を持っていたつもりですが、この時点でこういったミーティングを持つことになるとは思っていませんでした。

ただ、こういった事も含めて前向きに問題を解決しようと非常に努力しているのでチームの雰囲気は良い状態にあり、マシンに関しての問題も一つ一つ解決していて、最後の暑い時間帯にもタイムを上げられたのもありレースウィークに向けて良い感触でテストを終えられました。レースウィークに向けては新しい仕様のエンジンになる予定で、パワーが上がればよりタイムも出しやすくなるので楽しみです。」

2/24-25 Free Practice

[金曜 FP1](50min)気温 / 路面温度 17°C/27°C1’ 35.076 17 番手

テストから比べると、天候は安定した状態で推移する予報の出ている週末。
予定通り新仕様のエンジンを搭載し、走行を開始。 アウトラップでクイックシフターが正常に作動しないトラブルが、チームメイトのジーノとともに発生。問題を 解決するためにすぐさまピットイン。仕様の変わったエンジンにクイックシフターシステムのアジャストしきれ ていなかったのが原因だった。

アジャストのため約 10 分ほどピットで時間を使い。再びコースイン。 数周後にもエンジン燃調セッティングのためにピットイン。 新エンジンは、旧エンジンに比べ高回転の伸びはあるものの低回転領域では失っている部分が多く、コーナーに よって使うギアが変わってしまうほどの変化があった。そのためギアレシオ変更の必要性(※)を感じたが、時 間は限られていてひとまずこのセッションではシャーシサイド、サスペンションのセットアップに時間を使うこ とに。途中コースアウト後にグラベルでの転倒がありマシンの損傷は少なかったものの、ここでも貴重な走行時間を失う形となってしまった。
(※シーズン中の各ギアレシオの変更はレギュレーションで禁止されているため、シーズン中変更できるのはファイナルギアレシオのみ)

[ 金曜 FP2](50min)気温 / 路面温度 18°C/32°C 1’ 34.770 18 番手

FP1終了後にギアレシオを主題にデータを確認。主にライダーの要望はよりショート側への変更だったが、エンジン回転数を確認するとすでにレブリミッターに当たっているコーナーもあり、リスクが大きいこととシャーシのセットアップを進めるためにも(ファイナルギアレシオを変えるとスイングアーム長が変わり、セットアップへの 影響が大きため)現状を維持して FP2 へ臨むこととなった。 金曜日のフリー走行は「フリー走行」と名前が付いている ものの WSBK では実質の予選となっており、初日 FP1、FP2 の結果で、翌日の SP1、SP2 への振り分けがあり、予選 上位に入るためには金曜日に上位 10 台に入るか、SP1 で上 位 2 台に入る事が必要となる。そのため FP2 終盤では各ラ イダーがより大きなタイムアップを狙ってくる。 アベレージスピードが 170km/h 近いハイスピードコースの このコースはスリップストリームを使うことで大きなゲイ ンを得られる事が多く、このセッションでもタイムアップ のために速いライダーを追う必要がある。しかしここは世 界選手権。そうやすやすとは後ろに付かせてはくれない。 最後まで速いライダーの後ろは確保できず、タイム的にも FP1 から 0.3 秒のタイムアップにとどまった。

土曜 FP3 (15min) 気温 / 路面温度 17°C/21°C 1’ 35.595 20 番手

15 分間と非常に短い時間の土曜フリー走行。
FP2 でサスペンションセットアップは進歩を見せたものの、やはりファイナルギアレシオからくる問題も多く、こ のセッションでトライすることに。 しかしコーナーによって良い部分があるものの、タイムに繋がるコーナーでのロスが大きく結果的にタイムには つながる事はなかった。

2/25-26 Qualifi

土曜 SP1 (15min) 気温 / 路面温度 18°C/35°C 1’ 34.968 23 番手(13 番手)

トライしたファイナルギアレシオを元に戻し、SP1 へ挑む。SP2に進むためにはこのセッションで上位 2 台に入 る必要がある。 上がった路面温度の影響かセッション開始直後からリアのトラクションに問題を抱え、周回を重ねるも思うよう にタイムを伸ばせない。特にホームストレートに繋がる最終セクターでのタイムが伸びず。このセクターだけで 0.4 秒近くを失っている形。最後までタイムを伸ばす事はできず。このセッションでの 13 番手。SP2 へ進む事は できず、決勝は 23 番グリッドからのスタートが決まった。

日曜 Warmup 走行 (15min) 気温 / 路面温度 21°C/21°C 1’ 34.750 14 番手

予選でリアのトラクションが大きな問題となり、それに対してエンジニアの案で大きくリアサスペンションのセッ トアップを振ってみることになった朝のウォームアップ走行。走行開始直後からフィーリングが良く、ユーズド タイヤにも関わらず単独でそれまでの自己ベストを更新するタイムを記録。良い感触を得たセットアップで決勝 へ進むことに。

2/26 Race

日曜 決勝 (15LAP) 気温 / 路面温度 25°C/36°C 8 位 (‒6.610)

いよいよ自身初の WSS レースの舞台へ。 決勝の時間帯にはテストから含めて気温、路面温度共に一番の高い温度を記録し、コンディション的には一番厳 しい状況での決勝となる。
23番グリッド最後列からのスタートとなった渡辺は、スタートをうまく決め 1 周目で 6 台を抜き 17 番手まで上 がり、直後 2 周目には混戦のグループの中でさらに順位をあげ 12 番手までジャンプアップ。しかし直後3周目に 転倒によるコースコンディション悪化のため赤旗が提示。レースが一時中断となる。 リスタート時のグリッドは赤旗時点の前の周の順位でグリッドが決まると思いきや、3周を完了していない場合グリッドは予選からの順位のまま、再び 23 番グリッドからのスタートとなった。

仕切り直しのレースは 10 周に減算されてのスタート。レース1ほどの好スタートとはいかず、順位を維持したま ま1コーナーへ。しかし再び混戦の中でじわじわと順位を上げて、3周目にはポイント圏内の 15 位を捉える。そ してさらに追い上げを続け 7 周目には 10 位まで順位を上げていき、そこから #32Morais 選手、#41Wagner 選手 と 3 台での順位争いが激化。順位を入れ替えながら最終ラップへ。 そしてホンダコーナーへ差し掛かった時、目の前に居た #32Morais 選手が突然の失速、接触を避けるために大き くスロットル閉じ、その前にいた #41Wagner 選手との距離が開いてしまい。トップ 10 には入れずかと思った直 後に最終ヘアピンで2台のクラッシュがあったことで順位はさらに上がり予選 23 番グリッドから 15 順位を上げ 8 位でチェッカーを受けた。

ライダーコメント

「テストからレースウイークまでマシンのセットアップに苦しみ、タイムが伸び悩んでいる状態でしたが、朝のフ リーでチームの用意したセットアップで良いフィーリングを掴み、決勝ではそれが良い結果を引き寄せる事がで きた要因だと思います。8 位でのフィニッシュで予選までの流れを考えれば非常に良い結果だったと思います。チー ムも非常に喜んでくれていますし、純粋に嬉しいです。ただ荒れたレースの中で運にも恵まれた部分もありますし、 順位的にもさらに上を目指しているので次戦タイラウンドではマシンのセットアップスピードを上げてもっと上 位を狙えるように予選から組み立てていきたいと思います。ひとまず開幕戦を無事に戦う事が出来、さらにトップ 10 でのフィニッシュが出来たのも、スポンサーの方々をはじめ、多くの方の応援おかげです。ありがとうござ いました。
次戦以降さらに上位を目指して尽力していきます。応援よろしくお願いします」