RACE REPORT

3/10-11 Free Practice

オーストラリアでの開幕戦から 1 週間の間をあけて、灼熱のタイでの第2戦。全 12 戦の中でも貴重な走行経験が あるサーキットで可能性を感じながらのサーキット入りとなった。既にオーストラリアから使用していて他チー ムに比べて若干のパワー不足の問題を抱えているエンジン。今回タイラウンドの舞台となるチャン・インターナ ショナルサーキットの、ストップアンドゴーのコースレイアウトはオーストラリア以上にその問題に苦難する事 も予想されていた。

[金曜 FP1](60min) 気温 / 路面温度 33°C/41°C 1’ 39.612 13 番手

走り出しから走行経験のあるサーキットという事もあり、比較的序盤からタイムを上げる事ができ、コースに対 しての基準を持っている分マシンの状態も把握しやすい状態で FP1のセッションを進めていく。 今回ピレリの用意した前後2種類づつのタイヤの選択肢の中で、前回オーストラリアの決勝で使用したものと、 ハード側の用意があり、この FP1途中でテスト。このハード側タイヤのフィーリングが非常によく、ここで大き くタイムを上げた。 しかし車体の状況は決して悪い状態ではないものの、エンジンが思うように走らず、またオーストラリアでの状 況と同じく、低回転でのトルク不足がコーナー脱出速度を遅くし、。長い直線二つを含むセクター1、セクター2 で大きくタイムを失っていた。

[金曜 FP2](60min) 気温 / 路面温度 34°C/43°C 1’ 39.768 17 番手

FP1後、チームに対してよりショート側のファイナルレシオを試すように要望するものの、昨年までのデータを ベースにするチームはそれを認めず。サスペンションセットアップのみで FP2 へ。 セッション前半は、レースシュミレーションのために長めの 10 周を周回。ユーズドスタートで周回の後半でベス トタイムを出し、決勝に向けてのペースが悪くないことを確認できた。

しかし FP1同様エンジンパワーの問題は大きく、コーナー立ち上がりからストレート区間で失うタイムは大きく、 サスペンションセットアップに大きい進歩を生み出すことができず、リスクを承知でコーナースピードを無理や り上げてロングに感じるギアレシオの帳じりを合わせるように乗り方を変えたが、無理をしている割にタイムは 伸びず、周囲のライダーのタイムアップに順位を落としてしまう形となった。

[土曜 FP3]15min 気温 / 路面温度 34°C/43°C 1’ 39.438 13 番手

FP2 の走行後にチームとの長いミーティングの中で、当然ながらファイナルレシオの話に時間を割き、幾つかの複 雑に絡む懸念材料がある問題ということもあり、結論は翌朝のピットでの開口一番でのファイナルを変えてくれ。 という一言まで時間がかかることに。 結果的にここでのファイナルレシオ変更は、低回転を使わざるおえなかったコーナーでの加速が改善したのはも ちろん、ブレーキングに関してもより強いエンジンブレーキによりフロントへの加重が増え、加減速共に非常に 良いフィーリングを生み出し、周回を重ねたユーズドタイヤでそれまでのベストを更新するほどの大きい変化と なった。

3/11-12 Qualifi

[土曜 SP1]15min 気温 / 路面温度 35°C/49°C 1’ 39.172 19 番手 (9 番手 )

FP3 でつかんだ良い手応えもあり、SP2 進出が見えてきた感触があったが、15 分の予選でのライダーのタイムアッ プは予想以上のものだった。いまかいまかと待ったセッション開始とともにそれぞれニュータイヤでコースイン していき、ニュータイヤの一番グリップする最初の数周のタイムアタック。 最初のタイムアタック時点ではベストタイム 1’ 39.172 の 2 番手につけ、このまま行けば SP2 に進出という順位だ が、その後自分以外の各ライダーはピットイン、ニュータイヤを装着し、コースインし再びタイムアタック。唯 一タイヤ交換をせずにコース上に留まる作戦をとったが、スリップストリームを使わない単独でのタイムアップ は難しく、さらにセッション終盤に、突然エンジンがストップする原因不明のトラブルが発生。最終的に 9 番手 まで順位を落とし、予選の組み立て、マシンの信頼性に関して、もう一度考える必要がある予選となった。

[日曜 WarmUp]15min 気温 / 路面温度 34°C/42°C 1’ 40.741 22 番手

ユーズドタイヤでの感触が悪くないことや、セットアップの方向性がある程度見えてきたことで、比較的ポジティブな心境での朝のフリー走行だったが、予選で発生したトラブルの原因を明確に把握することができないまま、原因になり得る電装系パーツの交換を行なっていたが、この朝のフリー走行でも同じトラブルが発生し、通常のマシンの状態で1周もすることなく、最後のマシンのセットアップの確認作業が全くできないまま朝のフリー走行を終えた。

3/12 Race

[日曜 決勝 ]17Lap 気温 / 路面温度 37°C/50°C 9 位(-19.666)

朝のフリー走行終了後、はっきりとしたトラブルの原因を発見できないため、チームはマシンのすべてのハーネ ス(配線)を交換する判断を下し、決勝まで 2 時間弱の短い時間だったが無事に交換を終えた。これまで使用し ていなかったハーネスへの交換は、違うトラブルを誘発する可能性もあるため、交換を終えてもトラブル解消の 成否は、決勝サイティングラップを走るまで分からない状況。非常に高い緊張感を保ったまま決勝を迎える。 決勝で同じ全開加速中にトラブルが発生してしまうと、短い間隔で走る後続に追突され大きな事故につながる可 能性を含んでいるため、しっかり負荷をかけてサイティングラップを走りきり、トラブルが解消されていること を確認しながらグリッドまでの1周を走る。 ひとまず無事にグリッドにマシンを着け、決勝への集中を高めていく。 決勝はまずまずの出だしでスタート決め1周目 1 コーナーまでにすでに3台以上をパス。しかし続く長いストレー トで数台にパスされ続くブレーキングで再び差し返す。

混戦のオープニングラップで 3 つ順位を上げ 16 番手に上がるが、3 周目にまたもマシントラブルが発生。チェンジレバーに触れていないのにも関わらず、天下カットを繰り返し、瞬間朝のフリーのようなトラブルがよぎるが 幸いエンジンが完全にストップすることはなかった。しかしその後オートシフターを完全に失い、シフトアップ のたびにスロットル操作が必要となってしまった。 しかし大きいタイムロスは最低限に抑えることができ、その後も集中力を切らすことなく順位を上げていく。折 り返しの8周目にはポイント圏内の 13 位まで追い上げていく。開幕戦オーストラリア同様、決勝で最も厳しいコ ンデションとなり手元の計測では路面温度も 60°Cを超え、それぞれのライダーがそれまでのマシンのフィーリン グを得る事が出来ずに転倒、またマシンが悲鳴を上げてしまうチームも多く、鈴鹿 8 耐を思い起こさせるような サバイバルレースの中で渡辺は最後まで粘り強く走り、最終ラップの最終コーナーでもさらに一つ順位を上げて、 9位でのフィニッシュとなり、開幕戦の8位に続いて2戦連続での TOP10 に入りチャンピオンシップスタンディ ングでも9位のポジションを維持している。

ライダーコメント

直近での走行経験のあるコースということもあり、ウイーク序盤からリズム良く走る事が出来ていましたが、FP2 でのファイナルレシオのセットアップの足踏みが非常にもったいなく感じたのが 1 番の反省点です。 1セッション無駄にしたというほどではなかったかもしれませんが、迷いなくトライを続けていれば、より力強 くステップを踏めていたように思います。

また予選 SP1 のセッションの使い方ももう少し効率よく進めるためにチームともより念密にミーティングを持た なければいけません。 決勝では高い路面温度にグリップを失い、さらにトラブルも発生してしまったこともあり非常に厳しい状況でし たが、結果的にコンスタントに走りきる事が2戦続けての TOP10 フィニッシュに繋がった事は非常によかったと 思います。 予選グリッドの重要性やエンジンパワーのビハインド、マシンの信頼性など厳しい状況は続いていますが、チー ムとも問題の共有はできていて、チームもこれらを解決するために前に進んでいく事を望んでいるので次のレー スでもさらに上位に進めるようにチームと協力していきます。

オーストラリアに続いて今回も RS-ITOH 様、Team JP 様がアドバイザーとして同行してくださったりと、多くの 方の協力のおかげでレースを戦う事ができています。
ありがとうございます。 まだまだ喜んでもらえるような結果とはなっていませんが、次戦以降も応援よろしく御願い致します。