RACE REPORT

3/31-4/1 Free Practice

2戦連続でのTOP10フィニッシュとなった開幕からの2戦。戦いの場はいよいよヨーロッパでのレースに場所を移し、各チームのゲスト、スポンサー向けのホスピタリティーによりサーキットはより一層の華やかさを増し、ヨーロッパのみ参戦するESSクラスのライダーが増えたことでレースの激しさを増して行く。
マシンセットアップの方向性も徐々に見え始めているものの、チームとしての経験が少なく、また今までトライしてきたセットアップとは違う方向性であるために当初は困惑した様子も見え隠れしていたが、チームメイトとも同じ方向性に進んでいるために徐々にチームもセットアップなど進むべき方向に柔軟性を持ち始めている印象である。

[金曜FP1] (60min) 気温/路面温度 14℃/25℃ 1’56.867 17番手

この日午後からの天候が崩れることが予想され、翌日の予選SP2へ進むために初日の1本目の走行からタイムを出すことが求められる。
日差しこそあるものの、気温は低く、風も強く吹いていて序盤はマシンの状況を確認。シャーシのフィーリングは確実にレースを重ねる毎にサスペンションのアップデートによって良くなっているが、このレースも前回まで使用していたエンジンをキープ。当然ながらここまでのレース同様、他チームと比較してのビハインドはコーナー出口。
このセッションではコース上で同じカワサキに乗る#1 ケナン・ソフォグル選手と同じタイミングで走ることが数度あり、各コーナーでの走りを比較する事が出来たが各コーナー立ち上がりで少しづつ離されていき、結果1周すると大きな差になっていた。
このセッション後、前年のチャンピオンチームのファイナルレシオを確認して同じファイナルレシオを使用していると確認したが、いくつかのコーナーでは使うギアが違い、コーナーリングスピードは変わらないにも関わらず、ソフォグル選手が2速で立ち上がるコーナーを1速を使う必要があるというほどに、そのエンジンキャラクターには差がある事が予測できた。また、使うエンジン回転数が限られている事で、車体のセットアップに対してもシビアにならざるおえず、例えば少しの違和感をフロントエンドに抱えてコーナースピードを少し落とすと使う回転数が下がり、立ち上がりスピードがガクッと落ちる事で、コーナーだけではなく立ち上がりまでタイムを失うというような様相であった。
とはいえ、このセッションでチームメイトのジーノ選手は同じパッケージで8番手に食い込むラップタイムを記録していて、予選SP2進出のための早い段階で1周のタイムを出すという部分ではまだまだ改善の必要がある。

[金曜FP2](60min) 気温/路面温度 17℃/23℃(WET)2’14.915 5番手

当初の予報通りFP2開始直前、湿り気のある強い風と共に激しく雨が降り始め、コース上は一瞬にしてウェットコンディションへ。セッション序盤は嵐のような天候で雨風とも強く、走れる状況にはないという判断のもと各ライダーは走行を見合わせ。天候が少し落ち着きチラホラとコースインするライダーが出てくる中、オーストラリアでのテスト以降雨の走行がなく、現状でのウェットコンデションでの状態を確認するために残り15分の所でコースイン。すでに10数周しているライダーの中4ラップほどで5番手タイムを記録し雨の中でのマシンを確認することができた。

[土曜 FP3](15min) 気温/路面温度 11℃/14℃ 1’58.490 24番手

前日のFP2がウェットコンディションの走行になったために、決勝想定の確認ができておらず、このFP3でユーズドの決勝想定ラップを確認。この日天候こそ日差しが出て回復方向なものの、風はかなり激しく常に20m/s近い風が吹き、まるでフィリップアイランドの天候を思い起こさせるようなコンディション。風向きは前日とは真逆になり、1km以上のストレートでは前日に比べて10km/h以上速いスピードを記録。
これによってブレーキングポイントはもちろん、コーナーリング中のフィーリングも大きく変化。風に対する対応の早さも求められるセッションとなった。

4/1-2 Qualifi

 

[土曜 SP1](15min) 気温/路面温度 16℃/30℃ 1’56.724 19番手(9番手)

予選では前回タイでの問題を改善するために、セッション前からSC0(ソフト)Newタイヤを2セット使うセッションの組み立てを計画。1周2分近く時間のかかるアラゴンのコースでは、タイヤ交換・ピットイン、アウトの時間を含めると各タイヤそれぞれ3周が最大。セッション開始と共に一番先頭のグループでコースイン。しかし早々にクラッシュによりセッションは一時中断。
計測1周の中でよりグリップの高いSC1ではスロットルを開けながらの旋回区間でより大きい開度によりリアの沈み込み、フロントの伸び上がりが大きくなってしまい、対策のためリアのプリロードを足しつつ、約11分という残り時間を考えて、この時点で次のタイヤへ交換を済ませその後のリスタートに備えることに。
コース上のオイル処理を終えた後のセッション開始直前。先頭のグループでコースインする流れを作っていたが、普段指示を出す事のないスタッフから「待て!」という声と共にスタッフの動きが止まり、すでに多くのライダーがピットロードを走り出している。「なんで止めるんだ!」と聞き返すと同時にどうも無線の越しに指示を受けたものを伝えた様子。
すぐさま「いいからバイク出して!」と指示を出し、ピットアウトしていくものの、止まっていた時間10数秒の間にピット出口のグリーンライトと共に出て行ったライダーたちは遥か前方。結果的にグループから遅れてくる遅いライダーたちをパスしながらのアタックとなり、想定とはかけ離れた展開となってしまった。スリップストリームを使わない単独走行では大きいタイムアップは難しく、9番手タイムに留まり決勝に向けて19番手グリッドからのスタートが決まった。

[日曜 Warmup]15min 気温/路面温度 9℃/11℃ 1’58.120  22番手

朝早い時間帯ということもあり気温、路面温度共に非常に低く、風も前日の予選以上の強い風が吹きコンディションに差がありすぎるために最低限のチェックに留まる走行となった。序盤低い路面温度に様子を見ながらチームメイトのジーノ選手と各所を比較するために同時にピットアウト。多少のライディングスタイルに差はあるものの、やはり抱えている問題は同じ部分でギア使いにも悩んでいるようであった。
マシンに施したセットアップの方向性も確認し、朝のフリー走行を終えた。

4/2 Race

[日曜 決勝]16LAP 気温/路面温度 13℃/22℃ 15位(-32.717)

決勝は朝のフリー走行からさらに風が強まり、気温は低く冷たい風も吹く中での決勝となった。
決勝はスタートが決まり、混戦の1コーナーでもクラッシュしかけて失速するライダーの間をうまくすり抜けポジションを上げていき、さらにその先のコーナーでも転倒したライダーにスロットルを閉じるライダーをうまくパス。
1周目だけで8人のライダーをパスし11番手でコントロールラインを通過。既に2~3周目にかけて集団は長くなりつつあったが、混戦のグループの中ではスリップストリームをしっかり使えることもあり比較的楽に走ることができていた。しかし集団の先頭に立ちそのまま抜け出すほどのペースを作ることは難しく、コーナーで抜き直線で抜き返されるという状況を繰り返していた。
レース中盤に差し掛かりスリップストリームを使うことでグループの中で順位をキープしていたが、徐々にリアタイヤのグリップが落ち始め、コーナー脱出のスピードを稼げなくなってくると、スリップストリームからちぎられることもしばしば。そうなるとペースを維持することは難しくなっていく。
最後の数周でなんとか順位をキープしようとコーナー進入で無理をするも、今度はフロントから何度か転倒しかけジリ貧の状態。ラスト数周で立て続けに順位を落とし、最終的に15位でのフィニッシュとなった。

 

ライダーコメント

初日の午後のセッションが雨となったことで難しいレースウィークになり、予選ではコミュニケーションミスで失ったものも大きかったですが、マシンセットアップではしっかりステップを踏むことができ確実にフィーリングは良くなっています。ただ依然エンジンのトルク不足からくる問題は大きく、長い直線をもつこのコースでは非常に苦しいレースでした。
レース1周目のジャンプアップでTop10を狙える可能性も見えていましたが、後半のグリップダウンは想定より大きく、終盤大きく順位を落としてしまってすごく悔しいです。タイヤマネージメントでも大きな課題が見えました。
次のレースに向けてチームが今一番の課題でもある、新しい仕様でのエンジンを用意してくれる予定で、アッセンではより上位を狙えると思います。今回のレースは非常に悔しいレースとなってしまいましたが、次戦に向けても応援よろしくお願いします。