RACE REPORT

4/28-30 Free Practice

例年あまりに気まぐれな天気に「ダッチウェザー」と名前がつくほどに、天候が安定しないことで有名なオランダ。伝統のTTサーキットアッセン。

実際昨年も完全なドライとなったのは予選と降雨で赤旗となったレースのみであり、気温10℃を下回る中でのセッションが連日続いていく。

年間で使用できるエンジン数6基に制限される中、開幕戦から3戦使用したエンジンが役目を終え、このレースから仕様の違うエンジンに載せ替え、前回までの要望を反映したより低回転でのトルクを出した仕様に変更され、前回アラゴンでのコーナー出口のビハインドを取り返す期待が持たれた。

[金曜FP1] (60min)  気温/路面温度 9℃/15℃ 1’41.040 (13番手)

セッション開始とともに小雨がぱらつき序盤から行くライダーと行かないライダーでペースが大きく違う雨量の中、 5ラップほどそういった状況の中でラップ。

攻略が難しいと言われるTTサーキットだったがコースの習熟自体に思ったほどの時間はかからず、タイミングよく良いペースメーカーにつけたこともあって、セッション1本目から13番手で終了。 初サーキットに対しての対応に自信をつけた。

また新しくなったエンジンも好印象で、低速域の改善をすぐに体感できたこともセッションを進める上で重要なポイントとなった。

改善のステップとしては決して大きいものではなかったが、求めるものを反映して状況の改善につながることで成長していくのが重要であることはチーム側の理想でもあった部分であり、この状況をチームは喜んでいた。

前回までのレースウィークの流れの中でロング目のレシオで迷いを生んでしまっていた反省から多少ショート目と言えるファイナルレシオからFP1をスタートしたこともあり、所々ショート目に感じる場面があったものの新エンジンで使うギアに選択肢を持つことができていた。シャーシではハイスピードでの切り返しの連続する場面の多いサーキットということもあり、切り返しの重さが課題となっていた。

[金曜FP2]  気温/路面温度 10℃/19℃  1’40.846(20番手)

走行2本目になってコースへの対応ではある程度できた感じだったが、これまでの金曜日同様、翌日土曜日に向けてのSP2進出をかけたタイムアタックとなるが、新品タイヤの時の一発タイムでは、未だうまく行ってない部分が多く、まだ模索している状況となっていた。

セッション終盤にピットアウトと同時にチャンピオンシップ暫定1位のベテラン、ロルフォについていけるタイミングにつけ、追走していた7コーナーで転倒。

バックストレートでロルフォ選手を前にだし、加速して追従していった直後だった。それまでとコーナーへの侵入スピードは大きく変わらなかったが、フロント荷重が乗っていなかった可能性があった。

コーナー数の少ない左コーナーだったこともあり、タイヤ自体の温度も上がっていなかったという可能性もあり、低い気温、路面温度により注意するべきだった。

幸いマシン、ライダー共に200kmを超える場所での転倒にしてはダメージが少なく、翌日の走行に影響がないようにメカニックたちの腕に委ねられる。

[土曜FP3] 気温/路面温度 8℃/11℃  1’40.551(16番手)

マシンの修復と共に、このセッションで昨日希望を出していたロング方向へのファイナルレシオをトライ。

前日の転倒の影響は全くないことを確認。ファイナルレシオに関しても昨日まで使うギアが選択できる状況、裏を返せばギア使いに迷いがあった状況もあったことに対して、コース後半のハイスピードセクションでの使用回転数がトルクバンドに合うようになったこともあり、トータルでのフィーリングは良くなり。レースウィーク中のベストタイムを記録した。

一方で、セッション後半に5コーナー、コース中一番スピードを落とすコーナーでフロントを失っての転倒。

ファイナル変更で若干立ち上がり回転数が下がり、そこでのビハインドを取り返そうとコーナースピードをあげたり、ラインを変えたりとトライする中でスリップダウン。

幸いマシンへのダメージも少なくそのままピットに戻ってこのセッションを終えた。

4.29-30 Qualifi

[土曜SP1]15min 気温/路面温度 11℃/24℃   1’40.848  22番手(12番手)

前回のレース同様今回の予選でも1ストップでタイヤを2セット使う組み立てを予定。路面温度が上がって車体の雰囲気が少し変わってきたのを感じるものの、セットアップに使う時間は限られており、15分のセッションで2セットのタイヤを使うには計測2ラップの後、ピットインタイヤを変えまた2ラップ(アウトラップの時間によって3周)が最大数となる。

1セット目のタイヤで新品タイヤでのフィーリングを確認。

一回目のアタックではラップタイムは1’40.962。2周の計測ラップの後ピットイン。タイヤを変え再びピットアウト。ロルフォに追従するかたちとなり、アタックラップについていこうと後ろにつくも、それをロルフォは嫌がり、ペースを上げては下げ、また上げては下げるのを繰り返す。

タイミングをうまく崩され、引き離されたところでタイムアタックに入る形となってしまい、最終的に1’40.848と大きいタイムアップに繋げることができず。SP1は12番手総合で22番手からの決勝スターティンググリッドとなった。

[日曜warmup] 気温/路面温度 9℃/10℃    1’41.379(19番手)

今回のレースでは特別違うタイプのタイヤが持ち込まれていることはなく前回のレースと同じチョイスでのレースとなる予定だったが、ウィークを通じてロングランをできていなかったこともありこのタイミングで周回したタイヤでのフィーリングを確認。

日曜日になり金曜日、土曜日と同じ方向に向けて吹いていた風向きが全く逆方向への風向き変わり、それによってマシンのフィーリングが変わり、ハイスピードコーナーでは使うラインどりやカットインのタイミングも大きく変更する必要があった。全体のラップタイムを見ても平均タイムが落ちていて各ライダーのコメントでも風の影響を比較的大きく受けていること見て取れ、 それに付随してかアラゴンでも問題となったレース終盤でのタイヤ摩耗によるバイクバランスの変化とそれによるフロントフィーリングの悪化が起こり、決勝に向けて 若干のセットアップの変更で決勝に挑むことに。

4.30 Race

[日曜 決勝] 18LAP 気温/路面温度 14℃/16℃  1’40.633  リタイア

これまでのレースウィークに比べると、FP1からのラップタイム的な伸びしろを引き出すことができず、流れとして上向きの流れを作れていないことで、決勝に向けて、上位進出が厳しくなっていることを感じながらのグリッドでの時間を過ごす。

決勝のスタートはほどほどの出だしで、3ポジションほど順位を上げて1コーナーへ飛び込んでいく。

バックストレートへの脱出で懸念していた通りの状況になり2台ほどにパスされ、1周目は22位をキープしてコントロールラインを通過。

その後2周目、3周目と混戦に紛れてそれぞれ1つずつ順位を上げるものの、持っているペースはここまで。最初のタイヤドロップのタイミングで#78大久保にバックストレートでパスされ、 ここから大久保の後ろでラップを重ねていく。

中盤までのペースで少しづつ引き離される場面もあったが、終盤に差し掛かり2段目のタイヤグリップダウンあたりからか、大久保のペースが落ちるのと同時に朝フリーでのコメントを受けレース終盤のためのセットアップ変更によって終盤のペース良くなったタイミングで再び追いついていくが、コーナーで追いつきバックストレートで離されるという展開を繰り返す。

13周目、コース後半の高速コーナーの連続区間でうまくスリップを使いながら真横に並び、続く切り返しで大久保に仕掛けていき横並びのままコーナーに飛び込むも、大久保はラインを被せる形でブロック。高速コーナーでの咄嗟のラインの修正は難しく、そのまま接触、転倒。WSS4レース目にして残念ながらノーポイントリタイアとなった。

ライダーコメント

転倒リタイアでレースを終えたことが非常に残念です。一瞬の判断ミスでしたが、次戦以降は確実にパスできるタイミングを見極めなければいけません。今シーズンこのレースから続く初走行のサーキットの一つ目でFP1から比較的いい滑り出しとなったところからマシンセットアップでうまく伸び代を出せなかったことが決勝での結果につなげられなかった原因だったと思います。

パッケージとしても新エンジンが来たことで、ステップアップとなる手応えがありましたが、それを生かすことができず次戦に向けての課題となりました。

一方でマシンのセットアップの方向性でも新たに見える方向性もあったり、新しいサーキットへの順応もうまく行ったこともあり次戦以降への自信になりました。

次戦はチームのホームラウンドとなるイタリア、イモラでのレースとなり、再び初走行となるサーキットになります。

今回のレースで得た反省点を活かしていきたいと思います。次戦以降も応援よろしくお願いします。